今日のテーマ
営業にお世辞は必要か?科学的に考えてみた
※こちらのページは上記Youtubeの内容を書き起こしています。
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営業にお世辞は必要なのか否かを考えていきたいと思います。
お世辞は基本的な言いたくないもの
お世辞は言いたいか言いたくないかと言えば、基本的には言いたくないと思います。お世辞の意味として基本的に人が使っているのは、心から思っていないこと、心ではそう思っていないけれども相手を褒めなければいけない時に言う言葉というのがなんとなくお世辞のイメージなので、思っていないことを言うというのは結局ストレスなんです。これは認知的不協和をうまく活用しましょうという話なのですが、認知的不協和が起こってしまってもやもやしている状態なわけです。思っていないけれど褒める、そういうお世辞を言いたいかと言うと、当然媚を売っている、みたいな感じになったり、自分に嘘をついている、ので嫌ですというのはめっちゃわかります。
営業の目線で見るとお世辞が良いことが心理学で証明されている
それはそうです。お世辞を言いたい人がいるの?という話で当然そうじゃないんですが、ただ営業の目線で見たとき、お世辞がめちゃくちゃ良いというのが心理学で証明されているというのがちょっと嫌なところです。どういうことかというと、香港大学の研究で、お世辞をとにかくちゃんと言い切ることによって、相手の自分に対する評価が上がったということが証明されているということです。
要はお世辞をちゃんと言い切れる人は、自分に対して好印象を持ってもらえるというのが、この研究で分かったことと言うのが、エレイン・チャン、ジャディブ・セングプタさんの研究で証明された、ということでございました。しかもお世辞が仮に相手から嘘だとバレたとしても、それが言った人に対する印象と言うのは長くポジティブな印象が残るということが証明されているので、営業する立場からすればお世辞を言わないことに対して損なことは実はない、うそと言うことがわかっても長く続くのでわかっているということです。
うそをついてまで、という気持ちにはなるのでもう少しお世辞の意味を考えていくと、お世辞というのは他人の機嫌を取る、愛想のいい言葉であって、うそをつくというわけではないです。嘘をついてほめるとかごまかしながら称賛をするという形ではなく、あくまで他人の機嫌を良くするための愛想がいい言葉なんです。なので決してうそをつきなさいと言うことではなく、相手のほめるべきポイントを見つけていきましょうということなんです。営業はこれからお客さんと長くお付き合いしてください、お金を払ってまでお取引をさせてもらって長いお付き合いをしていきましょうねという話なので、そもそも相手の良いところやほめるポイントが見つけられない相手と長いお付き合いができるかと言えば、正直難しいと思うんです。そういう正しい意味でのお世辞が言えない場合は逆にお客さんと付き合うことの方が将来的にストレスになる可能性が高いので、それはちょっと検討いただいたほうがいいかなというところです。
お世辞を聞くと相手も好意を持ちポジティブな反応を示しやすい
お世辞を使うことというところがさっきお話ししたように他人の機嫌を取る愛想の良い言葉なんです。これは営業力の武器と言われている6つの武器の中で、心理学で人に影響を与える6つの武器のなかで好意と言うものがあります。好意というのは結局自分に対して好きだ、好感度の高い人からの言葉はポジティブな反応を示しやすい、と言われています。なので好意を持ちやすい人はどう言う人かというと、自分のことを認めたり、ほめてくれる人なわけです。お世辞を言う相手に褒める言葉や賞賛の言葉を伝える、ということはあなたを認めています。それに対して私も価値を感じています、かつ私にはできないけれどあなたにはできてすばらしいと思いますということを伝える言葉なので、それを言葉を聞いて、相手側もこの人は自分に好意を持ってくれているなと思えるわけです。それが返報性の法則になって返っていく。要は相手に好きになってもらってほしいときには自分が好きになりましょうということが定説で間違いありません。
お世辞はたまにさらっと個別に伝えることがタイミング
これは営業でもなんでもコミュニケーションをとるうえでは全般で言えることです。お世辞を伝えるべきはどういうタイミングなのか、ポイントは3つで、たまにさらっと個別に伝える、これがお世辞を伝える、相手を褒めるべきタイミング、ということです。いつもほめ続けていると、ほめられたという価値が落ちちゃうわけです。何かごますりのように伝えていくと、研究の中ではもうすぐばれてもいいと出ていましたが、あまり媚を売っているみたいなことは営業とお客さんの関係で見たときに不自然さとか違和感が出てきてしまう、この人結局売りたいために言っているなという風に警戒心を高めてしまう可能性もあるので、サラッということが大事です。後は個別に伝えるということです。みんなの前で何回も大きな声で言うのではなく、個別にさらっとほめてあげることがお世辞を伝える、相手を褒めるべきタイミングということです。
たまにのルールと言うのは基本的に私は商談のタイミングでは何かしら相手のことを褒めるようにしていたのですが、たまにほめるというのは褒めるべきポイントを常に変えていくということです。今日ちょっとネクタイお似合いですねとか、髪切られたんですねみたいなこととかはこうやって相手を褒めることは難しいと考えがちですが、自分が相手に対して見つけたことを伝えるだけでも十分です。何か変わりましたねえとか、それいいですねという言葉をちょっとずつ投げかけてあげるみたいなことがお世辞を伝えていく、ほめる言葉を伝えていくことで、それを伝えることによって相手に自分の好意を示していく、そうすることによって相手からの好意が返ってくる、その結果、今のご時世は営業においてクロージングやプレゼンのスキルよりはまずは関係性が重要だと言われているわけです。40%が営業のクロージング契約締結における割合で、クロージングやプレゼンは合計で30%、ニーズがあるかどうかよりも関係性があるかどうかのほうが大事、と言うところが言われています。この関係性づくりの言葉はぜひしっかり意識をして伝えてほしいなというところです。
お世辞を伝えるときは比較対象を明確にして言い切ることが大事
けっこうほめるとかお世辞を伝えるみたいなところは謙遜される、特に日本人は多いのですが、いやいやそんなことはないですよ、自分なんてみたいなことを言われるケースが多いと思うのですが、とにかく言い切ることが大事、これは別の心理学の研究で、デビットブラックマンさんの研究で言われています。とにかく言い切ることがすごく大事ということです。ほめたときにいやいやそんなことはないですよと返ってきたら、いやいやそんなことはないですよ、とこんなことを繰り返していたらしょうがないので、なんでそんなことはないと思ったのか、比較対象を明確にしてあげると、自分のほめる言葉は伝えやすくなります。私と比べたら全然できませんよとか、私は全然そんなのできないんでとかわたしはできないのでうらやましいですとか、他の人は全然できませんよという形で、自分と比べたり周囲の一般論と比べるみたいなことをするとやっぱり伝えやすくなる、ということです。
例えば私のユーチューブでいくと、毎日1年弱ぐらい更新し続けているのですが「毎日ユーチューブの更新を続けてすごいですね。」と言ってもらったときには「他にもやっている人はいっぱいいるんで。」みたいなことを返したとするじゃないですか。その時に「私も始めたんですが、三日坊主になってしまって」だったり「なんかそういう話を良く聞くんですが、できている人はそうおっしゃいますけどほとんどの人が出来ていないですからね。」とみたいなことを言われたら、そうなんだと受け入れやすくなります。なのでそうやって相手が仮に謙虚な切り返しをしたときでも、何か比較対象を伝えてあげることによって、相手の受け入れやすい状況を作ってあげましょう、ということでございました。
相手のほめられるポイント、お世辞を伝えられるポイントを探すところから始める
ということでお世辞の必要性について、必要なのか必要じゃないかと言うときに、うそをついてまでお世辞を言う必要はありません。やっぱり相手を褒める言葉であったり、正しい意味でお世辞を伝えるというところはすごく仕事上では大事、コミュニケーションをとるうえでは大事ということです。昔からほめ上手は仕事上手と言われるのはそこにつながるのかなというところで、相手を褒めることで得られるメリットは関係が良好になるとか、自信ややる気を与えます。ほめられたときは頑張ろうかなとなるわけです。けれどなんか親から先生から宿題をやりなさいよみたいなことを言われるとやる気がなくなるのと一緒で、ほめられると自信ややる気が上がってくる、営業というのは基本的に契約、もしくは契約締結後のサービス利用という行動を引き出すのが役割なので、相手の自信とやる気を高めるというのはコミュニケーション上、営業上すごく大事なことなんです。
かつ気持ちも褒められたときに前向きになりやすいというところがあるので、そうやって相手の気持ちを前に向けていくことも大事ですし、ほめる言葉を投げかけることによって自分の気持ちも前向きになりやすいので、ぜひそうやった目線も踏まえてお世辞を伝えることは決して悪いことではなく、やっぱり仕事や営業上ではメリットが非常に大きいので、ぜひ相手のほめられるポイント、お世辞を伝えられるポイントを探すというところから是非始めていただいて、変化であったり何かよいなあと思ったところを何か露骨にほめる言葉じゃなくてもいいです、それいいですねとか、変えました?みたいな形で自分の発見を伝えてあげるだけでも全然関係性は変わってきますのでぜひその点を意識いただきながら、お世辞をうまく活用していただけるといいんじゃないかと思っております。
営業上ほめるメリットと言うのは関係強化、相手のやる気と自信を高める、自分の気持ちが前向きになるということが証明されているので、やらない理由はないかなと言うのが私の結論です。うまくお世辞を使ってお客さんとの関係構築に活用していただければと思っております。お世辞をテーマに解説させていただきました。