【営業勉強会】商談が進まず受注にこぎつかない、そんなときは何をすべきなのか?

飛び込みをして、担当者と話ができて、商談が進んで受注に。

そうやってうまく話が進めばよいのですが、途中までいったところで商談が止まってしまうことはよくあります。

担当者はいいと言ってくれているのだけれど、社長がうんと言ってくれないため話がひっくり返りそう。

そんなときには何をしたら良いのでしょうか?うまく受注までつなげる方法がないかを考えました。

登場人物

 第三営業部部長 ささだ

 Aさん

社長の鶴の一声で商談がひっくり返りそうになっている

 勤怠管理の案件だけれど、競合がないのは理想的だよね。なんで競合がなかったの?

 10月の中旬に飛び込みましたが、そのとき、たまたまこれからいろいろなベンダーさんに話を聞いてやろうかな、としていたタイミングに飛び込んだので、それでうちでやります、といった感じで任せてもらえるという感じの状況になりました。担当者と話をして見積もりを3件出して、ただ先方の要件を満たせるのが一つしかなかったので、それでデモ設定をするためにベンダーさんを呼んでやってもらう、という話に持っていこうとしていたんです。しかし社長さんに話をしていなかったので、社長から「勤怠管理ではなくタイムカードでもいいんじゃないか。」という話が出てきました。

 営業をしていました。担当者からは応募OKをもらいました。社長にあげたら、社長の鶴の一声で今話がひっくり返りそうになっています、そういう状況?

 そういう感じではありましたが、向こうから電話が来て、今度の金曜日にアポを取って、そこで社長と担当者と自分とうちのテクニカルの担当を連れて商談をして、うまく「これがおすすめですよ。」と担当者と話して、これにしようと言っているものにうまく持っていければ可能性があるかなと言うところです。

 これからの話しなんだね。

 そうです。これからです。

 けっこうガチな話だね。次回の打ち合わせをどうするかが一番の問題だけどこれはもう完全に社長対策だね。ちなみに見積もりを3件出したけれど、先方の要件を満たしているのは自分の中でも1件しか認識していないのに3件出した?他に意見を出した理由は?

 意見を出した理由は、先方が社長にあげるのに1個はまずくて3つはあげなければいけないと言うので。

 比較して決めたという状況を作りたかった?

 そうです。

 比較して提案をしたのだけれど、そもそもがひっくり返されかけているということだよね。担当者とは仲がいい?

 いや、普通ですね。そんなに仲が良いという感じでもありません。

 担当者はどうしたいの?

 担当者は1個に絞ったあとでやりたいというところではあるのですが。

 担当者もこの1件でできたらやりたいと決まっているんだ?

 そうですね。

 ただ社長の説得ができないからどうにか説得頑張ってね、といった感じで言われているということ?

 そうですね。頑張ってとは言われていませんが、ただ社長がちょっと首をふってくれない、という話です。

 社長がうん、と首をふってくれない理由がタイムカードでもいいんじゃないかということだよね?

 そうですね。コストがだいたい60万円ぐらいかかるので、それをやるぐらいならばガラガラタイムカードでやるほうがいいんじゃないかと。

 年間60万円をかける価値がないという話だよね。

 だと思いますね。

 なるほど、よくある話で、上長のひっくり返し問題だよね。そもそもその会社がタイムカードではなく勤怠管理システムを買ってやろうと思った理由はわかる?

 映像制作会社で出張とかもあったりする会社で、予算的な問題で今はパソコンやスマホをまだ全員に持たせていません。ゆくゆくはそれも持たせて現場での出退勤なども集めてできるようにしていきたいというところが1個と、タイムカードや出退勤が管理できていないんじゃないか?というところがあります。労基さんが見回りに来ていて、注意されるという感じではないのですが言われたことがあり、やらないといけないという・・・

システムを入れることに対して社長はどう思っているか、しっかり確認する

 その問題を言い出したのは社長?それとも担当さん?

 担当者ですね。

 その問題に気づいたのも担当者?

 気づいたのも担当者です。

 もともと今提案しているシステムがどうこうという話よりも勤怠管理システムを入れなければならない理由をちゃんと説得しなければだめだよね。さっき言ってくれた労基さん対策とか、そういう部分が要素的にあるんだよね。

 あとは、今は紙で勤怠管理をしていて、紙で管理することに対して、月末になると1日、2日まるまるつぶして紙を書いたり、上長の承認を取ったり、という時間が生じてしまっているので、それでは生産性がかなり落ちていると思うので、1日、2日取られるということを改修したい。

 生産性話で言ってしまうと、仮に今の人事、総務の担当の人が給料が20万円だとすると、20営業日だから簡単に1日1万円だと考えたとして、1日1万円の12回だから12万円。でもいま提案しているシステムが60万円だとすると高い。そういう発想に社長さんはなっているはず。だから生産性の話は合わないと思う。

そのシステムを入れることによって総務の仕事が楽になるわけだよね。総務がその他に仕事があるの?という話もある。いま年間で12万円でできている勤怠管理を60万円かけてやってくれという話をしているよね。まじか!となるよね。「60万円にすると生産性が上がりますよ。」これが言いたいわけだよね。でも生産性をあげたところで、総務の人に他にやることがないのだったら、お前は黙って勤怠管理をしておけ、言うほうが安くあがるし、他の仕事がないから手持ちがなくてぼおっとされるよりもなんか安くやらせたほうがいいよね、という話も全然起こりうる。ちょっとここがどういう認識なのか、みたいなことはしっかり深掘りしたほうが良いと思うから、もしかしたらこのタイミングでクロージングしないほうがいいかも。

総務は「労基がやばい」と思っていて社長は「金かけるな」と思っている。どちらが勝つかというと、社長だから「金かけるな」が勝つ。というときにどうするか?労基やばいと言っても、労基対策は毎度毎度来ない。たぶん来ているのが2、3年に1回だよね。たまたま2、3年に1回が来ちゃっただけで単なるイベント。でもこれが固定費になっちゃうと総務の人に残業とかで金を払わなければならないにしても、年間12万円にプラスして10万円から22万円、60万円のほうが高い。

だからお金で攻めてはだめ。生産性が上がりますとか、社長が金をかけるなということを話の題材として持ち出しているから、他のツールがいいとかということではなくて、タイムカードで良くない?という話だよね。それが他の社員の生産性につながるかどうかはそんなに関係ない。その必要性を変に訴えると、「いや、金をかけたくないからいいや。」で終わっちゃうと思うから、まず引っかかるポイントとしては人事側、総務皮が気にしている労基の対策。ここをまず社長がどう思っているか、金についても社長がどう思っているのか?

今提案しているやつは、今60万円で出しているけれど、月間で5万円ということでしょう?

 初期費用が月間で言うと20000円ちょっとです。導入支援とかの費用が初期費用として30万円かかるので、ランニングは20000円ちょっとです。

 そう考えると人件費と同じで初期費用をいつ出すのか、出さないのかという話だよね。初期費用は削れるの?

 初期費用を削ろうと思えばできるんですが、そうすると初期費用のサポートが無くなるので、管理部門の担当者的にはそこはつけてもらえないと困るという要望で、それで探しているというところなんです。

 売る側としてそのお金は30万円がマストなんだ?

 売る側としてそれをつけてもつけなくてもどちらでもいいです。

 そうではなくて、30万円のものは総務側としては必要なわけだけれど、その30万円の金額は値引きできるのかどうかという話で。

 それはできないです。

 お金の問題というのは、お金がネックのときには誰にどういう交渉をするかという話だから。

 その値引き交渉に関してはベンダー側が12月までに決めればディスカウントするという話だったのですが、12月中に決めることは無理だったので、決まりませんでした。

 それはベンダー側にもう1回言ったほうがいい。それは普通に考えておかしいよね。12月に値引きできて1月に値引きできない理由はたぶんないと思う。年末の最終目標の達成で12月に決めたいというやつでしょう。

 だと思います。

 それで決まるんだったら、もちろん30万円をちゃんともらって、それだけのことができるのだから30万円ちゃんとくださいよというのが普通にサービスを提供する側の考えだから値引きありきで考える必要はもちろんない。

けれど、けれど決められない理由の一番大きなところがお金ならば、すごく雑な言い方をしてしまえば、社長を納得させるか、ベンダー側に社長が納得する金額まで下げさせるかしかなくて、買うというところで決められるならばそこしかない。そこは間に入っている営業が交渉するしかない。

そこは交渉材料として伝えるから、社長は30万円じゃなくて20万円だったらという話だったら20万円で持っていけばいいし、逆にベンダー側の営業になってくる。半額だったらすぐにやりますと言ってたという話をして、けれど半額だと厳しい。じゃあ20万円だったらという落とし所に持っていける。金額の部分に関しては人件費でコストが掛かっている部分だからむやみに値引きしようという話ではないけれど、買ってもらうという目線で考えたときにはどこの誰に何の交渉をするのか、たしかにしっかり意識しておかないといけない。

 そこは社長の出方次第で、交渉できるのかなと思います。

 ちょっとガチで金額がネックになるのなら、持ち帰って逆に社長はいくらだったらやるのかをしっかり握って、ちょっとベンダー側に確認しますという形で話して、一旦打ち合わせはクローズかな。

要は高いというのはお金以上の価値を感じていないということだから、まずやるべきことはアポを取ることだけれど、アポが取れているからやるべきことは、「そもそも社長がこの勤怠管理についてどう考えているのか?」ということをしっかり確認してもらいたい。現場の大変さを理解しているのかも確認すること、現場の大変さというのは実質の作業の部分と労基対策の部分が2つあり、その問題についてどう考えているのかを確認する。勤怠管理のシステムを入れることによっての価値をどこまで理解してもらっているかも確認する。

相手側の社長が「ポジティブにやったほうがいいとは思っているんだけどさあ・・・」みたいにお金を一旦無視したらやったほうがいい、やるべきと思っているのなら、それに対していくらのお金だったらやれるのか、みたいなところをしっかり確認する。引っかかっている理由をもう一度確認することだね。ちょっとそこのヒアリングありきだね。これを言っておけばOKというものはないから、なぜそこでつまっているのかをちょっと確認してもらえるといいかな。
もう1社あるよね。もう1社は?

相手のヒアリングやリサーチはしっかりやっておく

 もう1社は東京の支社に行って、本社は大阪で、これは給与前払いです。給与前払いと勤怠管理です。

 今決まっていない一番の問題点は?

っっcここは大阪の会社で給与前払いに関しては競合がいくつかあるという状況です。その中でうちが入り込んでいけるところではありますが、人材派遣の会社で会社の社員自体は70名ぐらいなのですが、スタッフの方(登録者)が20000から30000人いて、アクティブに動いているのは1000人ぐらい。

 これは事務派遣?

 詳しいところまでは聞けていませんが、今やっているのが給与前払いとかを振込でやっていて手間がかかるというところと、どうしても手数料が高いのでそこをなんとかしなければならないというところです。福利厚生の制度として給与前払いの制度を入れていきたいというのがあるのですが、この会社はすでにあるシステムを使っていて、そのシステムに合うような給与前払いと勤怠管理を探しているという状況です。

 この会社は最終的に何をしたいの?

 最終的には勤怠管理も紙でやっていて、給与前払いも銀行振込の形にしているので、福利厚生という部分でスタッフさんの福利厚生を上げてちゃんと働き続けてもらうというところです。

 なるほどそもそも問題がまだ定まっていないから提案になっていないでしょう?派遣会社だけれどAくん自身が何の派遣をしているのかわからないのでしょう?それは純粋にリサーチ不足。だってネットで調べればどんな業種で派遣をやっているか、すぐわかる。たぶん自分も派遣会社にいたけれど、ビジネスモデル上、純粋に派遣会社が困っているのは人が集まらないか、人が長く働いてくれないしかない。

ビジネスモデルはたくさん登録してもらうではなくたくさんの人に働いてもらうだから、たくさんのひとに働いてもらうためにはたくさんのひとに働き始めてもらうこと、たくさんのひとに長く働いてもらう、これだけだよね。この会社がどっちで困っていて、給与前払いや勤怠管理をすることでどう実現したいのか、という話だと思う。法人だから基本的に売上を上げるか、コストを下げることしかやることはない。

給与の支払いは銀行払いなどだから、だからなに?という話だよね。だからコストが下げたいのか、これをやると売上が上がるからやりたいのか?給与の前払いをすることによって、給与の前払いをしてくれるのだったら働こうというモチベーションが生まれるから、福利厚生の充実感も出て、応募者が増えますという発想なのか、そこがちゃんと定まっていないから、ちょっととりあえず給与前払いシステムを入れましょうよ、勤怠管理システムを入れましょうよという話になっちゃっている感じがする。ここはわかる?ヒアリングができている?

 そこはできていないです。

 そこが問題だね。この案件は切迫性があるの?今急ぎの案件?

 急ぎです。2月、3月までには決めないといけないので。

 3月までだと逆にスケジュールをどう決めているかについても聞けている?

 導入を来年の秋にやりたいということで、それを考えるとシステムの開発や連動しているところなどを考えるとやはり春までには決めないとといけなくて・・・

 これも曖昧だな。どう決めるかのプロセスはちゃんと聞けていないよね?いくつか声をかけていますという話になっちゃっているよね。そこがまた曖昧なところ、微妙なところだね。

まず確認しなければいけないのは、給与前払いや勤怠管理を入れることでたくさんの人に働いてもらいたいのか、定着率を高めたいのか、どちらか。この会社が今のビジネス上で何に困っているのかということと、基本的には他社もなにかやっているはず。大阪の別の派遣会社が給与の前払いをやっているからスタッフ取られていますという話はよくある話で、競合他社はやっているのか、という話も出てきます。普通に提案を受けた時、うちの給与前払いシステムを使ってくれたら売上が上がりますよと言われるのと、給与前払いシステムにうちのを入れてくれれば福利厚生、サービスが充実しますよと言われるのではどちらを使いたい?

 売上が上がる方です。

 そのほうがうれしいよね。でも相手側から見るとそれがないし状況が把握できていない。売上アップのためには把握ができていないのか提案がしきれないのか、基本的にどちらか。Aくん自身が業種を把握していないということがあるから、人材会社の競合も把握できていないでしょう?

たとえばA派遣会社があったときに、リクルートやテンプスタッフ、大阪のエリアでバッティングしている競合の派遣会社を調べて、前払いシステムをやっているから入れなければならない、ということがわかっている。その競合他社が使っている前払いシステムはこういうところが強みになっているから、同じものを入れるか、同等のものを入れるか、同等以上のものを入れないといけない、そうじゃないとスタッフは取られてしまうよね。そこの提案をしなければいけないという2つの問題があるな。ちょっとその点をもう1回整理して考えないと提案できなくなっちゃう。という感じだね。もう1回ヒアリングだね。ここは商談しているの?

 全部電話です。

 電話でもいいけど、まずヒアリングが足りないのとリサーチが足りない。この会社の競合が何をしているのかという話だよね。

例えば3月までに決めるという話で何社に声をかけているのかとか、これは2、3社と言っていたけれど、声がけをしてどうやって決めるのか?の意志決定のプロセス、後は担当、上司、社長とかで決まるなら、担当はどういうところを気にするのか、社長まで行かないよみたいな話なのか?

勤怠管理のチームだけで決めているなら、売上の話は多分出てないはず。「とにかく俺たちは楽をしたいから、楽するために100万円の予算をもらっているから。」という話になっちゃうから、ここもちゃんと把握しておかないと提案はずれちゃうね。そのへんの問題整理と把握をもう1回詰め直してもらうことが大事。

リサーチとヒアリングの両方抜けちゃっているので早急に確認してもらって、「最終的にはうちを使ってもらえれば売上が上がりますよ、利益が出ますよ。」という提案をしてもらうことが大事かな。これはどの案件にも言えることだけど、使っておけばOKという話ではなくて使った先に何があるのか、特にBtoBの営業だから、基本的に売上を上げるか?コストを下げるか?会社的には利益を出すことが目的だからその目線で問題の整理をしてもらえるとよろしいかなと思います。あとは確認、相談はある?

 改めて聞くとしたら、困っているのは人が集まらなくて困っているのか、人が長く働いてくれなくて困っているのかどちらかをまず確認することですか?

 そう聞いても答えてくれないと思うよ。聞き方を考えなければならない。そもそも勤怠管理の発想でそこまで意識を持っているかというところが正直まだ見えないから、打ち合わせをする中で、「正直派遣業界は厳しいしスタッフの取り合いになっちゃていると思いますが、いま御社で抱えているスタッフさんの問題点で見たときに、応募が少ないのか、それとも定着率が低いとか、この点で行くとどちらを重きに感じていますか?それとも両方ですかね?」という確認をしてあげる。そのうえでちなみに競合さんは本社がどこですかという確認もする。

競合で行くと「すみません。勉強不足なのですが、同じようなシステムや仕組みは他社さんで導入されていますか?」みたいなことも聞ける。「ちなみに今回こういった取り組みをしようと思ったのは、その他社さんがやっているからですか?」「これを入れたらめっちゃスタッフの定着率とか応募数は上がりそうですか?」、みたいな話をしてあげると、気づきを与えつつ、こちらも相手側に同意を得られるから、相手の認識としても期待値が上がってくるよね。

 ここは定義してまた電話でヒアリングしたいと思います。

 そこをしっかり詰めてもらえればと思います。

営業4.0実践ゼミは絶賛メンバー募集中です!

私の営業の相談に乗って欲しい、意識の高いメンバーと営業力を高めたい!
そんな方は是非、一緒に営業を学びましょう!

LINE登録はこちら
LINEで営業ノウハウを学ぼう
LINE登録はこちら
LINEで営業ノウハウを学ぼう