【しくじり先生】仕事の全体像をわからずに営業して失敗から学んだこと

営業4.0実践ゼミではメンバーのこれまでの経験で「やっちまった」「こんな失敗したことある」という体験談をインタビューして、同じ過ちをしないための教訓をインタビューしています。

今回インタビューさせてもらったのは、社会人9年目のぐっさん!その生々しい体験記をご紹介します!

登場人物

 営業4.0実践ゼミのアイドルさや姉

 社会人9年目 難しい仕事に苦労したぐっさん

仕事の全体像もつかめないまま営業をしてしまった

 自己紹介からお願いします。

 ぐっさんです。社会人経験は8年、いや9年目になろうとしているところでずっとRT業界で働いています。会社は今で3社目です。今の会社はまだ8ヶ月程度しか勤めていなくて、1社前で4年、その前で4年間勤めていました。一貫してRT業界にいて、販売しているものはシステムです。ただどれも全部全く違うシステムでお客さま先も全く違う商材を経験しているので、あまり一貫性はないです。

今はセキュリティ対策ソフトのライセンス系の商品を販売をしていて法人向けに営業をしているところです。まだ今の会社は8ヶ月ということもあって営業の失敗は特に無く、1社目2社目と経験して改善しているので今のところは問題は営業的にないので、今日は1社目の話をしようと思っています。

 1社目は何を誰に売っていたんですか?

 1社目は官公庁向けに住民サービスを管理するような業務システムを販売しておりました。大きな流れで言うと、官公庁はずっと紙で業務をされていたんですが、今じゃ当たり前ですけど、紙を電子化して原本をハードディスクに移して、それを照会したり住民宛てに発行する、そういう電子化事業のお手伝いをしている会社でした。電子化自体は今はおそらく全国の自治体の90%ぐらいは終わっていて、ぼくのころはもう8割ぐらい終わっていて、そこのシェアがNo.1 だった会社でした。

導入しているお客さん先の自治体にルート営業的な感じで、さらに新しい住民サービスを始めませんかと事業を提案する営業でした。くくりとしてはコンサルティング営業です。新しい住民サービスは結構大掛かりなシステムで、コンビニで証明書が取れるようにするとかの商品を売っていて、自治体さんは半年から1年掛けて事業を実施していかれるのでどの会社がやっても見える結果は一緒ですが、その中でどの会社に事業をおまかせするのかが一番自治体にとって負担がないか、とか、値段が安いところに自治体さんが発注すると東京オリンピックみたいに大変なことになったりするので、一番任せられる業社にお金を払ってでも選びましょうというような提案をしていました。

 それって営業をしてから決まるまでの営業期間とか、一個あたりの決まる提案金額はどれぐらいですか?結構でかいイメージがあって・・・

 でかいですね。金額は数千万から億の事業、さっき言ったみたいなものならそれぐらいの規模になってきますし、システムが入っているところにオプションでソフトウェアを売るだけでも大体300万円ぐらいからです。うちの会社は高かったんです。品質というか差別化できるところはいっぱいあったので、よそよりも高いのは当然でしょう?というスタンスでした。

予定の期間としては事業化したら1年以内、かかっても2年以内で終わりますが、予算をつけてもらうまでが長かったりもするので、最短で営業期間は2年ぐらいです。1年間やり続けてプロセスがいっぱいあるので、提案のフェーズと予算を申請していただくフェーズと計上してもらうフェーズ、最後に選定というフェーズがあるので、その選定でいかに他社よりも良い提案をするか。本当は選定が始まった時点でうちに決まっているという状態、談合ではないですけど、選定が始まったときにその基準がうちのシステムでしかありえないような仕様書をお客様に書いてもらう着地が理想です。選定が始まったときにそれはもううちしかできないよねと結論に持っていく、だからコンサルティング営業なんです。

 面白いけど、すごく大変そう。

 すごく難しかったんです。めちゃくちゃ難しかったので4年間はしくじり続けました。

 それではしくじりを。

 大きく3つあると思っているんですけど、1つはさっき僕が説明したみたいな仕事の全体像がまったくわかっていなかったんです。

 それはわからないでしょう。

 わからなかった。初めて4年目に選定のフェーズを経験してお客さんと要件定義をしているときに、初めてここで決めるんだと理解したんです。ぼくはそれまで申請の本当に最初の事の起こりの段階で必殺技みたいな営業マンの提案があって、お客さんが感動して、もう御社にします!という気持ちになるのかと思っていたんですが、全然そんなことはなかったです。そういうフェーズがあって、うちがきっかけでお客さんに予算を仮につけてもらったとしても、プロセスの全体像だけでなくて自治体の組織の全体像を見なければならないのがめっちゃ難しいですが、組織全体を抑えてうちに流れる状態を作っていかないと、自分が行く先のお客さんだけを抑えて結局火をつけたのは自分でも、よそが持っていくということは平気で起こる世界でした。

うちはとにかく値段が高いので競争入札をすると絶対に負ける。プロポーザルじゃないと絶対だめみたいなこともわかっていなかった。しかも導入した後は長い期間を掛けてミスがないようにシステムに移行をしていったりするので、そこの支援もプロジェクトマネージャーとして営業がやらなければいけなくて、そういうこともわかっていなかった。

 これは新入社員で入った会社ですか?

 新入社員です。1年目から基本的にそういうところになって、一応入社6年目ぐらいの先輩がついたんですけど、先輩もその全体像についてよくわかっていなかった。みんな、わかんないです。忙しいからすぐ仕事に駆り出されるから、人の仕事を見ている暇なんかないし、とりあえず何をやっているかわからないけど、自社のブランドとベテランたちがやっているプレゼンテーションを真似して、新フェーズごとに相談して、上司に怒られながらやっていくみたいな本当に大変でした。

昔の人たちはその一番最初の第1フェーズの電子化を経験しているので、なんとなく新しい事業もこういうふうに進めるんだとわかっている。でもぼくの世代や6年目の世代のときに電子化はほぼ終わっていたので、そういう自治体との付き合い方がわからない中堅層が多かったです。仕事の全体像を把握しておくべきだったと思いますし、会社の教育の問題でもあると思いますが、あんなに難しい仕事なら2年ぐらいカバン持ちをしたほうがいいと思います。本当に難しかったんです。あんなに難しいのは人生は本当にないだろうな、と思います。

後は組織攻略の視点で、自分のシステムを使っているお客さんが必ずしもシステムを決めるわけではないので、提案先も最初は市民課さんでも良いかも知れませんが、その上にシステム課があり、長と市長がいることを把握するべきでした。市民課さんがそれをほしいといって始めることは殆どないんです。トップダウンで自治体さんはこれをやりましょうと決まってそれが仕事として市民課さんにおりてくる、市民課さんは特に何も考えていないから、どうしようとなって我々営業マンに頼るというのが流れに。そうなったときに、声がかかる存在でいればいいんです。

 それはいつおりるかも本当にわからないからとにかく営業としては聞いていかなければいけない?

 そうです。なので当時は担当が一人50自治体ある中で鳥取や岡山に行っていたんですが、月に1回は自治体さんに顔を出せと言われました。それはすごい無理だったんです。いつデスクで死亡するんだろうみたいな。

 だって30日しかないのに50自治体なんて。出勤日は20日しかないですものね。

自治体のことを知って、相手の立場に立って提案すればよかった

 すごいハードでした。それもわかるんです。結局こっちから押し売りばかりしていくんじゃなくて、コミュニケーションを取って単純接触を増やす。直接接点のある部署に、これはいいもんですよ、これは絶対に喜びますよとどんなに提案しても、その人達はすごいねとなってもそれを決めるわけじゃない、決めるのは議員さんの声だったり自治体の計画書に何年にやると盛り込まれていたり、それは中の人もわかっていないんです。

自治体の計画書は書いた人もよくわかっていないので、指摘しても、ああ本当だ、と言われるので、そんな感じで、基本的には住民からの要望に答えるという体で市長さんが始めるといい出すみたいな流れで各組織が巻き込まれる構図なので、その事の起こりをやっぱり全体像が見えていないとわかっていないから、ずっと間違った先に僕は提案をしていた感じでした。しかも自分の商品だけ。それをやるぐらいだったら、もっと自治体さんのことを知るとか、そういう全体像を見る努力とか、そういうところに注力すべきだったと思うんです。

 それはどうやって知れるの?その人に聞くってこと?

 いや何でもあります。いま自治体さんを取り巻いている環境の変化、例えばぼくがいた頃はマイナンバーが始まる始まらないの頃だったんですが、自治体さんはマイナンバーのことを調べている時間がないので、それを代わりに調べてあげてちゃんと理解して、そこに自社の商品が絡む所があれば絡めて紹介するとか、相手の立場に立って提案をする必要があったなと思います。

相手が喜ぶことをやってあげないとだめでしたね。僕が自社商品をいいでしょう、いいでしょうといった感じでいろんな自社商品を提案する資料を作ったり、あの手この手で資料を作って出したりしていたんですが、出している本人がよくわかっていない。何のためにはわかるんですが、本当に大変な事業なので、お客さんの興味はどうやって進めるんだろうというところなんです。やると言ったらやるしかないので、やるとなったらどうするのなので、何のためにという次元じゃないんです。

 やらなければいけないという?

 そうです。やると決まったらやるしかないので、官公庁の仕組みや組織体系とか、そういうものを見ながらやるべきでしたね。多分全体像が見えていたら取り組み方も変わっていたと思うんです。当時のぼくは目的地はそれをやるとわかっているつもりだったとしても地図を持っていなくて、手当たり次第西へ東へ走り回っていた感じです。いつか着くかもみたいな。

その結果何をやったかと言うと、一つ目は全体像が見えていなかったなんですが、しくじり的にわかりやすく言うんですが、ぼくは親切の押し売りをしていたんです。相手のことを考えていなかったとちょっと矛盾しますが、提案している間はデモンストレーションみたいなことをします。官公庁に持ち込んで、こういうものが市民課に入ったらすごくないですか?証明書が自動的に発行できます、と1,2時間ぐらい取って見てもらう施策があり、感動的なプレゼンをして市民課の心を動かせば決まるという単純なことしか考えていなかったです。見せるだけはただなので、見てみません?という話で、お客さんが本当に見たいと思っているわけでなかったのに。

、アポを取るのはすごくうまいので、親切のつもりで断れないトークをして、時代はIT時代なので、今後自治体がやっていくことになる、みたいなもっともらしい話をして、じゃあちょっと見るかみたいな気持ちにお客さんをさせていって、1、2時間ぐらい会社としてはキーイベントになりそうなものを設定していって、他の営業が年間で5ぐらいしかやらないものを15ぐらいやっていたんです。だから表彰もされたんです。

 デモの量が多い?

 多くて目立ったみたいな。でも響いていないので、ぼくは自社の売り込みだけでした。そういう時期が続いているときに、先輩が言っていたのが、親切の押し売りをするんじゃないぞでした。その時は意味がわからなかったけど、今は意味がわかります。親切を必要としていない人に飴を配っている感じなので、今だったらそれはやらないです。ニーズが起こっているところをちゃんと探す努力をします。

話を持っている人がいるかいないか、自治体にそういう話が出ているのかみたいなところに時間を掛けて、そういう物が始まる気配があったときに真っ先に関係者があの人に話を聞いたらわかるかも?という状態に育てていくのが理想です。消極的に思われるかもしれないですが、官公庁を相手にする上ではそれが合っていた気がしますが、プッシュで営業するなら市長とか、本当に町の指針を決める人たちに。でもそんなところにぼくらは接点を保つ意識はないので、ビッグ5のベンダーさんならあったかもしれませんが、ぼくの会社はそんな政治力はないベンダーだったので、事業を知っている、どう進めればいいかわかっている、製品の品質が高いというところを根付かせていくようなプレゼンは少なくとも持ち込みプレゼンではなかったような。

 そこは4年働いてわかったことじゃない。4年働いて気付くとはとても時間がかけていたなと思ったんですが。

 厳密には4年でも気付かず辞めました。2社目で3年経って気づきました。あのときそうすればよかったんだって。数撃ちゃ当たるんですが、会社としても注目度の高い案件が引っかかって、うちの書いたシナリオ通りにお客さんがのってきて、不毛の鳥取で一番難しい仕事をやった。とすげえとなったんですが、ここでもぼくはしくじりをおかしていて、結果的にその仕事が終わる前に会社をやめちゃったんです。後はその自治体のサイトを見て無事にうちになっているのを確認したので、後の営業をしたぼくの上司がちゃんとやったのと、ある程度シナリオができている時点でうちになるのは既定路線だったんだなというのが、あまりいい過ぎると談合みたいに思われるので良くないですが・・・

本当にセンシティブなんです。そうじゃないんです。お客さんがうちのものを気に入って、うちの商品仕様を要求に盛り込んだ結果、うちしかできないみたいなシナリオなので、

 それがはまったってこと?

 そうです。完全にはまっている自治体が一個だけ出てきて、会社からは注目されていましたね。結局それもがむしゃらにやっていただけなので。

 でも量はけっこう大事ってことですよね。

 そうです、それは言えると思いますが、それをやっぱり12分の1じゃなくて、他の営業マンが言うように5分の1に減らす努力ができた。ぼくがうまくいったのは行動力という面もありますが、当時のぼくの上司が非常に優秀な方でサポートしてくれたからできただけですね。ぼく自身の力であれはないですね。

新入社員は先輩に同行して仕事を知るべき

 それでぐっさんが営業をしていく上で、大事なことや結果が今見えているんじゃないかなと思ったとき、4月から新たな新入社員が入ってくるときに、ぐっさんが4年プラス2、3年、6,7年で築いたこれを新入社員が早く気付くためにはどういう情報のとり方をすればいいと思いますか?先輩たちはもう同じ状況で教えられないとなったときに、新入社員が情報を取りに行かなければいけない、どういう視点で動いたらいいのかなと思ったんですが。

 これは先輩の協力も絶対必要なんですけど、新入社員や新しく転職で入ってきた人に一番大切なのは同行することだと思うんです。先輩の営業に同行しまくる。1回2回見てこれは見たからいいよねじゃなくて、とにかく現場で同行で出てもらう。これは先輩の配慮が必要だと思っていて、新入社員は同行させてくださいとどんどん言いにくくなっていて、1回見たよねと言われたりすると持ちがしょぼーん!となるので、新入社員がというより先輩が今日行こうか!みたいな感じで常に言い続けてあげなければいけない。プロセスの全体像を理解している人が、あいつにはこれが見えていないと理解した上で、それぞれの案件に連れて行く。

 プロセスのフェーズごとに?

 そう、そういうことをしてあげないとずっと見えないままなんです。やっぱり先輩たちも自分の仕事に必死なので、基本、そこまで気をつかってくれる人っていないんです。と思うので、新入社員は全体像を理解するのは最初から難しいので、とにかく同行して、何が違うか自分で理解していくしかないです。先輩がそこまでやってくれないなら。

同じような案件でも同行したほうがいいし、同行って先輩は一番いいところしか見せないと思うんです。ロープレも先輩はあまりやってくれないので、こっちがいやだやりたくないというのもあるんですが、自分の実践です。やってくれない人が多いので、そこまで先輩が新入社員に気をつかってあげなければいけない。だめな案件もだめなところも含めて教えてあげないとだめで、後はお茶を飲みながらさっきはダサかった、とそこは笑い話にして・・・

 これは営業4.0実践ゼミの先輩メッセージとして送ろうかな。格好つけずに見せて上げなさいと。

 ロープレも自分が実践してあげないといきなりやれと言われてもわからないし、先輩たちは配慮が足りないですよね。

 足りないよね。なんか言ってきてくれるでしょうみたいな感じで。

 言ってきても今は忙しいんでと平気で言うじゃないですか。それも絶対だめです。すぐに手を止めて相手をしてあげないと。一回そんな感じで断ると、新入社員はどんどん萎縮していくので、そういう環境を作らないといつまでも育たないというか育つのが遅くなるので、やっぱり時間を掛けてでも基本的には先輩が指針を示して、今あなたがやっていることが将来的にどうなるのかという方向性を明確にした上で、現場に連れて行くことをしないと。いきなり飛び込みとかやらされている営業マンは不幸です。

 本当に意味があるのかな。意味があるならいいけど、無駄な時間がもったいないな。

 意味がわからないままみんなやっていると思うので。

 とりあえずメンタルを強くするためみたいなかなと思っていて。

 前の会社は飛び込みもありましたが、飛び込みも同行しましたね。

 ぐっさんが後輩にってこと?

 飛び込みをさせるんじゃなくてぼくが飛び込みをするところを後ろで見ていて、と。

 いい先輩ですね。

 そのぐらいやらないとわからないです。やってほしかったことをやっただけです。

 わかりました。

 先輩メンバーはとにかく時間を作ってかまってあげて、だめなところもすべて自分から見せていくスタンスをとる。新入社員のメンバーについては、先輩メンバーとはそういうものだから、しつこいぐらいに自分からお願いしにいってねというメッセージにしようかな。

 そうしてください。ぼくは2社目ではそうしました。

 ありがとうございました。

しくじり先生からのありがたい教訓

とにかく時間を作ってかまってあげてだめなところも自分から見せていく(先輩メンバー)
しつこいぐらいに自分からお願いして同行させてもらう(新入社員)

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