【しくじり先生】大きな仕事が空振りに終わって気づいたこと

営業4.0実践ゼミではメンバーのこれまでの経験で「やっちまった」「こんな失敗したことある」という体験談をインタビューして、同じ過ちをしないための教訓をインタビューしています。

今回インタビューさせてもらったのは、社会人3年目のSさん!その生々しい体験記をご紹介します!

登場人物

 営業4.0実践ゼミのアイドルさや姉

 社会人3年目 大きな商材を扱うSさん

全国のインフラを作る数億円を動かす営業

 まずは自己紹介からお願いします。

 Sです。社会人としては2016年の新卒で入社したので、今2年目の終わりぐらいで、今年の4月から3年目になる、まだペーペーと言えばペーペーです。

 もう3年になら独り立ちの時期ですよ。ぺーぺーはやめてください。

 もう新人扱いはされていないですけど。会社は電機機械部品メーカーで半導体や家電の部品、自動車やバイクの部品を作っていて、もう一つの分野としては完成体も作っています。自分はそこの部署で携帯基地局用電源を、全国何十万もある基地局で街中にあるアンテナから電波を飛ばすための電源を、携帯のキャリアに納入しています。キャリアさんに営業をかけて、通し価格が決まっている中でうちの製品を納入していく仕事です。

 それは携帯のキャリアが新しい携帯を作るときに次からうちの電源を入れてくださいみたいな感じですか?

 ちょっとそこが難しいんですが、基本はインフラなので。しょっちゅう製品がうちの会社とか他の会社とかばらばらになると安定供給という意味でよくないので、最初にキャリアさんがこういう仕様で何アンペアでサイズはこのぐらいという仕様をオープンにして、作れるメーカーは提案してくださいと言ってくるんです。それに応募して採用されればそこから10年間はそこのメーカーのものを使うとなる。正直、そこで勝てなければ営業すらかけられないというのがあるんですが・・・

 数年に1回のチャンスみたいな?

 そうですね、そこで採用された中でも安定供給のために2社か3社は採用するんですけど、2社か3社の中で競争していく感じです。どれだけシェアが取れるかということで。

 それを提案できる企業はいっぱいある?

 そうです、いっぱいあって、今までは信頼性ということで国内メーカー数社だったんですが、最近海外メーカーもどんどん入ってきたので、10社ぐらいはライバルがいる感じです。

 2、3社に絞られてその中から割合を奪うみたいな?今までの営業の話とは規模が違いすぎて。額もすごそう。

 金額で言うとたしかにでかいですね。感覚がおかしくなるぐらい。

 Sさんはそれを商品として携帯キャリアの担当部署に営業に行っている?

 携帯の基地局のサービスを担当している部署に営業に行く仕事です。

 たとえば仕様が出ないと営業のチャンスはあまりないということ?

 そうですね、仕様は数年に何回か仕様の案内が出てコンペになるんですけど、そこは勝負なのでガンガン行って、それがない期間は今年はどのぐらい基地局の工事をする予定がありますかと聞いて、その中で予算の配分が大きい地域、関東が多いですけど、一つ一つの基地局でどこのメーカーのものを使うか考える人にさらに当たって聞く感じです。

 先方からやるぞというアクションが出るまでは関係構築みたいな感じ?

 そうですね、正直お客さんのところに全然行かなくても成り立つ仕事ではありますね。1回も名刺交換すらしなくてもやってきてるといったらやっていける営業なんです。

 それは携帯の方でもう一つの方は?

 もう1個は電気自動車が最近出てきたと思うんですけど、その充電器です。こっちもインフラで売っていく先はいろいろあって全国チェーンを張り巡らせているお店につけてもらえればそれだけで、何百台、何千台になるのでそこに営業をかけていくのと、都道府県とかの地方自治体で公共事業として電気事業普及のためにぜひつけませんか?と言っていくのが今の状況ですね。

 さっきの携帯よりもそっちのほうが開拓しがいがありそうだけど。

 やりがいはありますね。市場がまだあまり盛り上がっていないので今年の後半以降から本格的にという感じです。

 では今はその2つを受け持っている?

 はい、そうです。

入社1年目に舞い込んだ3億円の仕事がなくなってしまった

 そんな中、やっちまった談はあります?

 1年目の話なのでちょっと前の話になるんですけど、OJT研修の間の時期で、電気自動車と携帯の方で行くと携帯の方なんですが、お客さんがある時期、営業している中でいい話があると言われて。だいたいお金で言うと3億円の売上になる案件が出てきて、3億円分の基地局の工事をすると言われたんです。

何故かうちの会社に注文をくれると言っていて、大変な話なので、上司にも言いつつ、3億円分の商品を作るって大変なことなので個人的には慎重に行きたいなと思って、全国の基地局の話なので北海道とか九州も含めて本当に工事するんですかねというところを先方に確認していたんです。

ただ最初に上司に3億円というインパクトを与えてしまったので。納期的にも厳しかったので基本的には注文をもらうために材料を調達しちゃうんです。

 それが本当にやるかどうか分からなくても?

 わからなくても、ある程度大丈夫だろうという確証が持てたら調達しちゃうんですけど。個人的にはまだあやしいなというお客さんもいて、ちょっと上長の許可がおりたら工事をやろうかなというお客さんもいてあやしいなと思って、それは都度上司には言っていたんです。ちょっとまだ危ないですよと言っておいたんですけど、上司的にはよくやったなと盛り上がっちゃって・・・決まって無いとは言ったんですけど。

 その話を3億円の話を聞いたのはSさんだけだったの?他の人を連れては?

 もう一人OJTの担当の先輩も一緒に行って聞いていたんですけど、あくまでそこの手柄を新入社員の僕に譲ろうとしていて、俺はあまりかかわらないからやって、と。

課長が会社の全社の会議に3億円やりますと書いちゃって。そうなると工場側も必死に動き始めて、具材もかき集めて、普段だったら半導体は船で調達するんですけどそれも飛行機を使って特別に調達したり、工場の人員も今のままでは足りないのでさらに派遣で工場の人員を増やし、普段だったら朝8時から夕方4時までの稼働時間なのに24時間稼働にして。

 めっちゃ動いているじゃん。

 そのあたりから個人的にはやばいやつじゃんと思って、これはもしものことがあったら、上司に責任をなすりつけるしか無いかなと思って、ただその予感は的中することになったんです。理由としてはお客さんがある時電話をかけてきて、ちょっと通し額が思ったより計算をしてみたら年間の通し額よりオーバーしていたみたいなので、追加の発注の件は来年度以降にのんびりやっていくからと。

 先方の予算がなくなってしまったということね?

 年間の通し額は決まっているんですけど、何十万とある基地局を計算していくので思ったより計算してみると積み上がってしまっていて年間の通し額は超えてしまっていたのでやっぱり話はなしで、と。それもすぐ上司に伝えたけど上司はそれを全社に展開してしまっていて上司のメンツもあって、俺はそんなシチュエーションになるとは聞いていないよと言い出して。

言いましたよと言ったらエビデンスになるメールとかはあるの?と言ってきて、自分の所属しているいちばん身近な上長なので、そんなの口頭でもいいじゃないですかと言ったんですけど、睨みつけられ。パワハラじゃないですけどやるしか無いよなと。結局パーになったという事実は変わらず。

 飛行機も来て、人も来て時間も24時間になって?

 工場に来た人に、急遽それをなしだと言って人を切ることもできないし、工場の稼働を変えることもできないので、とにかく上司のことはむかつきながらもとりあえずやるしか無いということで、そこから全国、北海道とか東北とか色々回っていってとりあえずそういう話があったので買ってくださいとお願いしていったんです。通し額の問題なので、そうだよね、と買ってくれるところはなかなかなくて。

その間もうちの課長とはギクシャクしながらも、俺言ったじゃんと。自分自身も金額が金額なので責任を感じつつ、上司にももっと強く言えばよかったなと、お客さんからもほとんど電話で聞いちゃっていたので、メールとかが残っていれば上司にこう言っていますと出すことができたので、全国出張に行きまくって。

 自分で売りに行ったということ?

 そうです、運良くたまたまある地域で単体としては通し額が余っているということで、けっこう大きな装置なんですけど、ソレを何百台と入れる倉庫のスペースも余っているということで、じゃあどうせ買うならまとめて買っちゃおうということで結局手柄を取ったっと。

 それはすばらしいね。

 3億円分にはならなかったですけどだいたい半分ぐらいは取り戻して。

 自分で行って自分で売った?

 そうです、自分と自分の担当のOJTと行って本当にお願いしますということで

 めっちゃすごいね。

 なんとか取り戻して。とはいっても、会社は3億円プラスの計画で社外にもそういう計画を出していたので、単純に計画ではマイナスになっちゃっていたので、みんなで怒られつつだったんですけど。

 でもそれ一年目の時?

 一年目です。一昨年から去年に掛けてです。というしくじりというか振り回された話でした。

 それはなんだろうね。私的には上司のせいだと思うけどね。

 まあそうなんですよね、そうなんですよねと言ったら終わりですが、まあ教訓です。

大事な話はメールや文書で証拠を残しておけばよかった

 戻れるんだったら、どうします?3億に始まり・・・

 個人的にはその時上司に対して気が弱かったなと。会社ってやっぱり自分の上司の上にも上司がいてさらに上司がいて圧がかけられているから自分の課長もそういう態度とったんだな、と。運良く1年目でわかったので、それなら末端の自分がある程度言いたいことは強く、しかもちゃんとした証拠を持っていかなくちゃいけないんだなとわかったので、今はもう徹底的に大事な話はメールで残して全部課長に渡すことをやっています。

 一方でお客さんからの情報のとり方はどうだったのかなと思って

 それも一つの反省として上司から言われたのは、普段は電話や口頭でのやり取りが多いんですけど、そんだけの金額が関わることだったらちゃんとメールなり文書としてはんこを押してもらうなり、ビジネスとして当然のことだと思うんですけど。

 しかもその額ね。

 3億と言われても、未だに3億っていくらとよくわからない金額なので、ちょっと舞い上がっていたというのがありますね。

 そのやれるかもと言った先方の担当者は、それなりにお金を動かせる権利があるというか、実行する権利があるの?

 それが直接話している人は基地局を設計する設計士だったりするので、その人が直接権利を持っているわけではないんです。そこの関係部門のお金を管理しているところが実際にやるかやらないかと決めたりするので、そっちにちゃんと会ってちゃんと話をつけておくべきだったなというところも教訓です。

 そのお金って出処がめっちゃ曖昧だよね。

 なんか軽くやろうかという感じで

 しかもちょっと飲みに行く?位な感じののりで、

 ちょっと飲みに行く?みたいな(笑)本当にビジネスとして基本的なところが甘かったなというところを実感しました。

 それでも半分でも売れたというのがすごいと思うけれども。

 本当に運が良かった。

 わかりました、教訓をひ一言で言うとなんですか?

 今自分の中で教訓として叩き込んでいるのは、上司にはまっとうな逆らい方をしようと。

 とりあえずそこなんだね。

 まっとうな理由があれば会社という組織はいろいろあるだろうけど、自分の立場の中でまっとうな逆らい方をしていくべきだなと。ある程度自分の意見を言っておけば上司もじゃあちゃんと決済権のあるお客さんと話したの?とか言ってくれていたかもしれないので、思ったことは全部言っておくべきだなという感じです。

 ありがとうございます。

 これが会社なのか、会社とはどういうものなのかがわかりました、その経験で。

 上司も苦労してんだなって。ありがとうございました。教えてもらって。今までのしくじり先生の中で、一番額のでかいしくじりだっと思います。

 なんかちょっと業界というところがあると思いますが、なかなか自分の努力で3億取ったとかいいづらい部分もあって他の業界が楽しそうに思えたりしますが。

 でも今はそこを頑張っている?

 そうですね、そこの会社の窮屈なところも自分の力でコントロールしていければいいなと思っています。

 わかりました、ありがとうございました。

しくじり先生からのありがたい教訓

上司にはまっとうな逆らい方をしよう

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