今日のテーマ
「高い」と言われた時の5つの切り返しトーク
※こちらのページは上記Youtubeの内容を書き起こしています。
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お客さんに高いと言われたときの考え方と対処法をお伝えしていきたいと思います。商談をしたりお客さんに提案をしていく中で、ちょっと高いとかもう少し安くならないの?と価格や金額がネックになって、なかなか意思決定してもらえない中で交渉されている人は少なくないと思います。そのときにどんな考え方で物事を捉えていけばよいのか、お客さんに対応していけばよいかを考えていきたいと思います。
高いというものは本当にはありません。富士山だとわかりやすいですが、富士山は本当に高いの?という話です。富士山が高いのは、富士山よりも高い山が日本にはないから高いわけです。しかし海外でエベレストの近くに住んでいる人から見ればエベレストはそんなに高くありません。高いという基準は何かと比較した結果生まれているわけです。営業が考えなければいけないのは比較材料がどこにあるのか、それをしっかり考えた上でアプローチしていかなければいけないというのが高いという考え方に対する切り返しでいちばん大事なポイントです。
高いと言われたときに「いや、決してそんな事はありません。」「これだけの機能があるので決して高い買い物ではないですよ。」と言われたとしても、相手の基準を把握していない中で、自分自慢や価格が高くないアピールをしても、高いとこっちは思っているんだよという話になってしまうので、その点はきちんと抑えていただきながら話を聞いていただきたいと思います。
比較基準
高いと言われるといきなり切り返しをしちゃったり、「そんなことはないんです」と言っちゃったりしている人はしっかり聞いていただきたいと思っています。
高いというのは何かしらとの比較の上で成立していることなので、何との比較なのか、比較されるものが基本的に5つあります。1つ目は予算です。時分の財布の中身を見たときに、払えないなという気持ちになるのが予算との比較です。自分が持っているお金と提示された金額を比較した上で高いか安いかを考えています。
2つ目は課題で、100万ある中で、提案されている内容が100万だったときに全部それに使ってしまうのか。考えたときに他にもできることがあります。たとえばフェイスブックの広告を出したいといったときに、フェイスブックの広告以外のWEBマーケやWEB広告も選択肢として出てきます。Googleのリスティング広告を出していこうとか、もっとオンデマンドで記事を書かせてみようとか、やれることがある中で、今その課題に対して本当にお金を払うべきなのかという比較も起こっています。
3つ目は競合他社です。競合からどんな提案を受けているのか、4つ目はネットや人づての情報です。事実かどうかはよくわからないけれどこんな話を聞いたことがあるぞ、みたいなことが比較の材料になりがちです。ネットのご時世なので情報が無駄に転がりすぎています。いろいろな情報がお客さん側に自然に入ってきている、勝手に仕入れてしまっている、そことの比較になっていて、聞いたことがあるということが比較の基準になってしまうケースもあります。
最後は過去の値引き実績です。こちら側が提示している金額が相手側の比較基準になっていて、それよりも安くしたいという感情が生まれきます。比較される基準としては予算があって、課題があって、競合他社の提案があって、ネットや人づての情報、最後は値引きの実績、今の提示している金額が比較の基準になっているということです。
なんとなく高いと思っているんだよね、なんとなく高い気がするんだよねとお客さんは言ってくることもあると思います。けれどなんとなくと感じる基準値がどこかしらにあるはずなので、基準となっているものを営業側がちゃんと理解してあげないと正しい返しはできません。金額が高い、低い、妥当という判断は単にロジックではありません。100万を見たときに高いと思う人も安いと思う人もいます。相手側がどんな感情、印象を持っているかがすごく大事です。印象を与えるためにはこの5つの基準があるということをまずは抑えてほしいです。
価格は初頭効果の影響を受けやすい
価格の捉え方ですが、最初に得た情報に引っ張られやすいです。初頭効果と言われるものなのですが、最初に与えられた情報にあとの情報が引っ張られやすくなる。一番最初に、例えば麦茶が50円ですと見ちゃった人は後から100円の麦茶を見たときに、価値としては100円の麦茶のほうが良い価値なのかもしれませんが、高い!と普通に思っちゃいます。自販機で150円の麦茶を買った人が100円の麦茶を見たら安いと思うわけで、特に価格に関しては最初に得た情報のインパクトは大きいです。
それがものさしの基準になりやすいということで、営業側がまずお客さんに提示する金額は慎重に考えなければいけませんし、今回自分が提案する金額が最初の情報かもしれませんが、他社からもしくはネットから情報を得ているはずなので、そこはしっかり確認しなければいけません。
価格を最後に出すこと、いろいろな情報を営業は提案するときに価格は最後に提示することが多いです。テレビ通販のジャパネットタカタとかもそうです。価格は最後です。いろいろなことができます。こんな機能があります、こんな未来が実現できます、だからこの金額という出し方をするのは、価格の印象をコントロールしているからです。最初から100万円でいろいろなことができますという話し方をしてしまうと、相手のものさしの基準に合うか合わないかがかけみたいになってしまうので、これだけのことができるからこの金額という出し方をするのが営業の常套手段です。
「高い」と言われたら否定ではなく「理解・共感」を示す
それをした上でお客さんは何と比較しているのか、ということを確認していきましょうという話です。ただし、聞き方を間違えてしまうと嫌われてしまいます。決して高くないのでうちの商材を使ったらお得ですよとか安いところを選ぶとこんな失敗をしますよとか、核はクロージングの最後なのでこういうことを言いがちですが、そんなことを言わなくても・・・、結局こいつは自分に売ろうとしているな、なんとか金を巻き上げようとしているなというふうに思われたらもうアウトです。
そうならないようにしていくためにはまず高いと言われたら共感を示しましょうということです。なんだか高い気がするんだよなと返事が来たときに、「さすが社長は目の付け所が違いますね。」経営者の視点で価格に対してのパフォーマンスが見合うかどうかはしっかり考えるべきポイントなので、「いや、社長はしっかり見られていますね。ただちなみに今どの点が高いと感じられましたか?」みたいな聞き方をします。さすがという言葉で見方は素晴らしいという反応をしてあげます。そういうふうな言い方をすると、相手側も実はここがちょっと引っかかっているんだよねみたいな話がしやすいです。
相手がどこに引っかかっているか話しやすい環境を多く作っておくことがすごく大事なことなので、高いと言われたときにいきなり否定をするのではなく「たまにそういうお答えをいただくのですが、御社だと何と比較されてそうお考えですか?」とか「いや、わかっていました。そう言われると思っているんです。他社さんとかはどんどん値引き値引きをかけているという噂は聞いているので、うちはちょっと高いなと言われることはわかっているのですが、それに見合った価値はご提案できると思っていますので、ちなみに今どこと比較されています?」と話をしたほうが相手側も話そうかなとか、比較している基準がどこなのかを考えやすくなります。こういった形で共感してから会話を広げていくことが大事です。
比較される基準は予算、課題、競合他社、ネットや人づての情報、今提示されている値引き交渉、この5つがあるので、この対応トークをお伝えしていきたいと思います。
予算との比較対応策
1つ目の予算との比較ですが、ここで大事なことは予算額を確認しないまま提案してしまっているケースが多いです。予算額とはピンポイントでいくら使えるかだけではなく、どれぐらいの幅で使えるかです。ミニマムどれ位の金額が出せるのか、最低限どれぐらい出せるのか、最高ではどれぐらいの金額が出せるのか、幅を確認しておくことが大事です。
お財布の中身を聞いたときに「それだったらできませんね」と終わりにするのではなく、その金額だったら・・・と松竹梅で提案しましょうということはよく言われることですが、相手の予算の幅に合わせて自分の商材はどこまでできるのか、その金額だったら何ができるのかをしっかり示してあげれば相手側も選びやすくなります。
予算がいきなり高いと言われたときに、今提示しているのはフルマックスの内容だったら「その予算だったらここまでのことならできます。社長が頑張っていただかないといけないですけど・・・」とか「担当の方にちょっと負担をかけてしまうかもしれませんけど、この金額を出していただければ機能は全部使えますので・・・」みたいなことが言えれば、それだったらちょっと頑張ってみるわ、ということになりやすいです。そこはしっかり確認することが大事です。
予算の幅、使えるお金の幅を確認しましょう。幅を確認することによって、ピンポイントでうちの商材を使うということだけではなく、並行して他社の商材を使うことも当然起こりうるわけです。そういった幅を確認することによって、複数の選択肢の中で自分も選んでもらえる、という状況が作りやすくなります。
あとは予算がどのぐらいのタイミングで使えるかが変わってくるケースがあります。四半期末や決算期のときに「来月だったらこの金額は出せるけれど今出せない。」とか「今年の予算は使い切っちゃったから、来年でもいい?」という形で支払えるけれど支払えるタイミングじゃないというケースやいっぺんに全部払うのは無理というケースもあります。その場合はこちら側、サービスを提供する側が支払える可能性を作れるかどうか、分割をOKにするのか、入金のタイミングを先延ばしにしてあげるとか、そういった事ができるかどうかを相談していきましょうということになります。
もちろん商材によってはできないケースもあると思いますが、そういった相談をすることによって受注角度が上がるのであれば、一考の余地があるということです。これが予算との対応方法で、予算の幅を確認して大中小、松竹梅を提案してあげる、もしくはタイミングを時期的、または一括での支払いが難しい場合はそれに見合った対応してあげましょうということが予算との比較の対応法、切り返しでした。
課題との比較対応策
2つ目は課題との比較です。お金はあるけれどどの課題にお金を使うかが決めきれていない場合です。WEB担当者に営業したときに、予算が1000万円あるけれど、うちが今提案しているのはWEB広告で200万。財布の中身的には全然いけるのだけれど、予算全体の2割をここで使い切ってしまってよいのか、というような考え方です。
2割だけでなく他の割合のケースも出てくると思いますが、ここで伝えなければならないことは今回の自分の提案は最終的に何が得られるのか、それが相手の得たいものと合致しているということを再度伝える必要があります。この問題に当たるということは提案自体に魅力を感じていないケース、もしくはこの金額を出すことは必要な投資だと思えていないケースが非常に高いので、何が得られるのか、ということは再度伝えていただく必要があります。
本当にやるかどうかがまだ決断できていない中で、なんとなく商談が進んでしまって価格提案までいってしまったケースなので、もう一度相手が得たいもの、こちらが提案できるものが重なっていることを示していただくことがここでの大事なことになります。
競合との比較対応策
3つ目は競合他社との比較ということで、やるべきことは明確になっていて、後はどこにしようかとなったときに競合他社との比較が出てくるということです。このときに高いと言われるときは、他社の方がやすいという話ですが、他社のほうが安いからうちも値引きしますということはちょっと安易すぎます。もったいないです。他社はどのぐらいの金額でどこまでできるのか、提示してあげるか確認してあげます。
結局お客さんは商材を買ってゴールではありません。使い切ってほしいものが得られるから幸せになるかもしれませんしお金が増えるかもしれません。BtoBでいけば利益を上げるには売上が増えるかのどちらかなので、それがちゃんとできうるのかという話です。すごく素晴らしい機能があります、サービスがあります、機能が充実していますと言われてもちゃんと使い切れるの?という話なので、金額が安くて機能が充実していますみたいなところで、「お宅はちょっと高いんだよね」と言われたときに「その金額でフォローとサポートがあります」という話はちゃんとしてあげたほうがいいです。
ツールとかの提案のときは考えなければいけないのですが、使いきれるかどうかはしっかりお客さんに確認して相談に乗って上げる必要がありますということが競合他社とのポイントです。機能の説明や機能の充実アピールではなく、購入後得られる成果が何なのか、どちらが得られるのか、得られる確率が高いのか、得やすいのかを再度確認、提案してあげましょう。
ネットや口コミとの比較対応策
4つ目のネットや人づての情報はたちが悪くて根拠がありません。なにか言っていた、誰か言っていたみたいな形なので、そもそも誰が言っていたかはしっかり確認する必要があります。その情報の信頼度合いがどれぐらいかです。信じ切っているのか、こんな話を聞いたのだけれど本当のところはどうなのか、対応が変わってきます。
こんなお話もあるぐらいのレベルならば、「このお話をしているわたしが言っていることは間違いないです」みたいなことを言えば変わってくると思いますが、信じ切っちゃっている場合は情報のリソースをしっかり確認してもらって、それが本当なのかどうか、一度確認してもらったほうがいいと思います。ネットの情報に負けているということは提案が負けている可能性が高いです。噂話はどうしても頭の記憶に残りやすいですが、直接話している営業が負けるわけはありません。その場合は関係構築がまだできていない可能性があるので、その手前のやり取りから見直していただく必要があります。
過去の値引き実績対応策
5つ目は過去の値引き実績です。今まで自分がやってきて、交渉前から一回安くしてよと言ったら安くしてもらえたみたいな経験があると、この金額ならやってもいいかなと思っているのだけれど、もうちょい安くならないかなという気持ちを持っている人はいます。もうちょい値引きをしたらやるよ、というパターンは、値引きをするか、値引きしない理由をちゃんと伝えるか、そのどちらかしかありません。
値引きすることは簡単ですが、値引きしませんとなって社内のルールなんで、という形でお断りしてしまうと、結局その人を大事にしているという感覚は伝わりません。「お宅の未来を実現するためにはこの金額が相当額、必要とする額です。」ということを伝えてあげるべきです。「本当はもっと安くしてあげたいという気持ちはあります。もっと安くしてもらえればうれしいなという気持ちは当然なのですが、サービスの質を落としたくないということはご理解ください、いただいたお金以上の価値はちゃんとお返ししますので、私を信じてこの金額で投資してください」みたいなことを言えば納得してくれるお客さんも非常に多いので、いきなり値引きをするのではなく、提供しているものについては必要な金額なんですということをしっかり自信を持ってお話しいただくことが大事かなということです。
価格提案で大事なことは最初に「安い」「妥当」と感じてもらうこと
5つの切り返しについてお話させていただきました。5つを全部言ったとしても、それでも高いと言ってくれるお客さんは中にいます。ここで確認するべきなのは、価格が最終ネックなのかという話です。やすければ買うという状況であれば、そこは営業側が再度検討しなければいけません。お金が出し切れないからもう少し考えたい、出しきれないのはどこかに不満があるからです。本当にお金がない、予算がないという話もありますが、その金額に見合う価値のものがかえってくるかというと不安というケースが多いです。
最後は気持ちです。やりたいことが決まっていてある程度の課題感がわかっていて解決できることを理解できていて、最後にお金を出せるかどうかはロジックで上司に説明するとか、家族に説明するとか、会社全体に提案をするときに、ロジックが必要なケースももちろんあります。最終的にロジックも必要ですが、最初に価格に対して大事なポイントは、妥当、安い、買うという気持ち、印象の部分が大事なので、気持ちがついてきた、感情が動いた後にロジックがついてきます。
感情的、気持ち的にこれは安いなとこの金額は妥当だねという気持ちを作ることがすごく大事で、最後は営業の気持ちです。いろいろご不安なのはわかりますが、私にも任せてくださいという最後の一言が言えるかどうか、じゃあ頼んでみようという気持ちにもるので、高いと思っていても、そう言ってくれる可能性が高いので、最後は気持ちを高く持ってください。価格が高いと言われたときの切り返しの考え方についてお話させていただきましたが、最後は気持ちを伝えきりましょう。いろいろやった上で最後に気持ちを伝えることが大事なのでぜひ価格交渉を頑張っていただきたいと思います。