今日のテーマ
真似のしやすさ・しにくさで営業戦略は変わる
※こちらのページは上記Youtubeの内容を書き起こしています。
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今日は模倣困難性から考える営業戦略ということでお話していきたいと思います。
模倣困難性の5つのタイプ
模倣困難性、字の通り競合他社が真似をしにくい自社の強みということで、この模倣困難性には5つのタイプがあると言われています。時間圧縮の不経済、経路依存症、因果関係不明性、社会的複雑性、特許ということで、こう並べると経済学の言葉なので、難しく聞こえますが、言っている事自体は難しくないです。
時間圧縮の不経済
1つ目の時間圧縮の不経済というのは、経営資源自体を手に入れるのに長い年月がかかる、時間はビジネスで考えるとそのままコストなので、時間がかかる=お金がかかるということです。とにかく時間をかけてブランドや販売網やネットワークを手に入れていて、なかなか競合他社が入りづらいということがこの時間圧縮の不経済です。先行した会社が時間をかけて作ってきているので、後発が後からポッと入ろうとしてもなかなか難しいということがこの時間圧縮の不経済です。
経路依存性
次は経路依存性で、これは要因として歴史的要因というところがけっこう多くて、例えばグーグルとかがそうですが、検索エンジンでシェアを取っているので、他のビジネス、ネット界隈のビジネスに対していろいろとデータを持っていて、だからこそ新しいビジネスにチャレンジしやすいみたいなところがあります。
どういうことかというと、経営資源の形成が特殊だったり特別なケースです。もともとやろうとしていたことではないビジネスから時間をかけていろいろ歴史や仕組みを紐解いていくと、今のビジネスには昔これをやっていたことが繋がりだったんだね、ということが起こるのがこの経路依存性と呼ばれる部分です。
なのでその歴史を完全になぞらえることができないと、グーグルがやってきたことを一つの検索エンジンだけであれば真似することもできると思いますし、他にもユーチューブをやるなどいろいろできるのですが、買収の歴史やサービス構築の歴史は真似することが難しいということがこの経路依存性です。歴史的要因が大きな影響をしているということです。
社会的複雑性
次が社会的複雑性で、経営資源自体が複雑なものだということです。リーダーシップとか社風とか、会社運営のやり方そのものを指すことがこの社会的複雑性です。
人間関係とか、人間関係を育成する仕組みみたいなものがこの社会的複雑性と呼ばれる部分ですが、真似をするだけ真似をしても、その会社の人がすぐ育つわけではなかったり、すぐにぽんとは出てこなかったり、というところで、会社自体の風土や雰囲気、みたいなことを作るには時間がかかります。そういう組織ができているからこそ、会社自体が伸びています。
スターバックスを他のカフェとかと比較してみると、スターバックスの店員さんはスターバックスで働きたいと思って入ってきます。サービスの質が上がるということはなぜかというと、ああいう社風を作り上げているからです。経営資源として社会的複雑性があります。チームワークやリーダーシップ、そういったものです。
特許
次は特許で、これはもう言わずもがなというところですが、わかりやすく言うと法律的に法のもとにすることが禁止されるということがこの特許です。
因果関係不明性
最後が因果関係不明性で、これは難しいのですが競争優位性と経営資源の関係がよくわからないというところで、なんかうちの強みだよね、みたいなところが因果関係不明性です。普通にやっているだけなのになぜかうちは強いみたいなところが起こっていて、なかなかそこが分析しきれていない、というところが因果関係不明性です。圧倒的な市場シェアを持っているのだけれど社会概念的に誰もが何故強いかはわからないのだけれどトップになっているというところが因果関係不明性です。
他社が真似をしにくい、自社にしかできない
言い換えれば模倣困難性とはどういうことかと言うと、単純に他社が真似をしにくいものなので自社にしかできないということです。これは営業する上ではすごくやりやすいです。競合他社と比較して決めますといったときに「うちはこういう歴史があったりこういうネットワークを持っているので他にはない強みがあります。」と言えます。他にはできないということ自体がお客さんが選ぶ理由になります。
これだけ商材が溢れかえってしまっていて競合が多い中で自社が選ばれる理由をどうやって作るかはすごく大事です。BtoBでもBtoCでも家族に説明するときに、大きな商材になればなるほどなぜこの商材にするのか、選ばれる理由をちゃんと作らなければいけないときに、こういう模倣困難性を持っていると当然営業しやすくなります。うちにしかできないことなので、うちにしかできないネットワークがあるので、と言えるかどうかは営業のストレスを減らすことにすごく貢献します。
模倣困難性がない場合は自分にしかできないことを探す
ただ営業をやっていくと模倣困難性がない場合が非常に多いです。模倣困難性がない場合はどうするかですが、模倣困難性がないのはあくまで商材、会社、経営資源であって自分自身ではありません。自分自身、営業マン、営業ウーマン、営業をやっている人自身が模倣困難性がある、ないと言われているわけではありません。自分が他の営業とは違う、自分にしかできないことがないかを探していくことが、商材自体に模倣困難性がないときにやるべき営業戦略です。
これは自分で考えるよりもお客さんに聞いたほうが早いです。「他の営業がやってくれなくて自分にやってほしいことをありますか?」とか「私に期待していただいていることはなんですか?」みたいなことを聞いて、それをやるしかありません。
商材に模倣困難性がないというのは、自分自身で差別化するポイントを作っていかなければいけないということなので、営業に負担はかかります。けれど営業に負担がかかるからこそ準備や仕掛けを作っていかないと最終的に選ばれないという状況になってしまうので、顧客と対面するからこそこういった事はしっかり考えていただく必要があるかなと言うところです。
模倣困難性が自社商材にないか5つのポイントでしっかり確認する
まとめると模倣困難性が自社商材にないか5つのポイントでしっかり確認しましょうということが、まず一番です。当然模倣困難性が高い商材のほうが営業がしやすいので、時間圧縮の不経済、経路依存性、因果関係不明性、社会的複雑性、特許、この要素に当て込んだときに自社が他の競合他社と比較したときに強みがないかをチェックする。模倣困難性があれば、それを理由に「自社にしかできない、弊社にしかできないことをお任せください」と言っていきましょうということがポイントの1個めです。
模倣困難性が自社商材になければ他営業マンとの違いを意図的に作る
模倣困難性が自社商材にないときは他営業マンとの違いを意図的に作るしかないのでヒアリングを重ねて自分にしかできないことを作る、探っていくことが大事になります。
最終的に選ばれるというゴールは一緒ですが、選ばれる理由を商材につけるのか、自分に、営業につけるのか、で勝てるか勝てないかが決まってきますので、まずは商材の模倣困難性がないかを確認して、なければ○○のやり方、あるならそこをしっかりアピールして頂く必要があるかなということで模倣困難性についてお話させていただきました。